冷徹上司の過剰な愛
脚の力が抜け、自分の力だけで立っていられなくなると、唇が離された。



「…そういう顔されると、このまま犯したくなる。」



とわたしの唇を親指でなぞる難波さん。


そんな仕草にさえ今のわたしはドキッとする。



「……あのん。そろそろ僕を解放して?」


「…このまま可愛がってくれないんですか?」


「…大事なもの、持ち合わせてないからね。」


「………買いに行きます。」


「ダーメ。ほら、もう休んで?」


「…はい。」



っはぁ。大事なもの…ゴム、買っておけばよかった。


と後悔していると、おでこにキスが降ってきた。



「今日の分まで、次は可愛がるって約束する。だから今日はこれで許して?おやすみ。」


「…おやすみなさい。」



優しい笑顔を残し去って行った難波さんの匂いだけが残るこの空間で、少しの間立ち尽くしていた。


やっぱり難波さんのこと、ちゃんとお母さんに紹介したいな。わたしの大好きな人…。
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