冷徹上司の過剰な愛
「あの子いいな、って思っててさ。俺のこと紹介してくんない?」


「………。」



難波さん、何も言わないんだ…?


と思っていると、難波さんが口を開いた。



「なんで蓮美?仕事できないし、あの感じだと家庭的じゃないと思うけど?それに言うほど可愛くないだろ。」



っ、………難波さんひどい。


難波さんの本音はそうだったのかもしれない。


わたしは騙されてたの…?難波さんに惚れるわたしを裏で笑ってた…?


込み上げる涙で視界が滲んだ時、「あ、…」と罰が悪そうな声が聞こえた。その隣からは難波さんの声も。



「蓮美…、」



蓮美、か…。なんか今はそんな呼び方にさえ壁を感じる。



「…あ、えっと…何も聞いてないです。今来たので…。」



咄嗟に笑顔を作ると、オフィスに戻った。


少しして難波さんも戻ってきたけど、わたしを気にかける素振り一つしないままデスクに座った。そのまま仕事をする難波さん。


…っはぁ。頭痛い。



「蓮美?なんか顔色悪くね?」
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