冷徹上司の過剰な愛
心配そうに声を掛けてきたのは有馬だった。



「有馬…、」


「体調悪いのか?」


「んーん。平気ぃ…。」



なんて返事をしつつ、さっきより頭痛も体も重い。


それもこれも難波さんがあんなこと言うからだ。…と思いたい。


だけど、難波さんが言っていたことは何一つとして間違っていないのも確か。


仕事は出来ないし家庭的ってわけでもない。もちろん可愛くもない。


じゃどうして難波さんはわたしなんかの相手をするんだろう?…どうしてドキドキさせるようなことをしたり言ったりするの?


…っはぁ。それに、浮気?してるんだっけ。家に連れ込んだんだもんね…?てことはそういうことをした、ってことでしょ?


あー、もう何も考えたくない。


今は仕事に集中して、1分1秒でも早く会社から出たい。


そう思い、無我夢中で仕事に取り組んだ。その甲斐あってか、気づけば退社時刻になっていて、舞子や有馬に挨拶を済ませるとすぐにオフィスを出た。


良いタイミングでエレベーターが開き、中に乗り込むと後を追うように難波さんが乗り込んできた。


…っ、…今一番避けたい存在の人と2人きり…。とりあえずここは挨拶、だよね。



「お疲れ様です。」
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