冷徹上司の過剰な愛
大丈夫。いつも通りだよね?声のトーンも雰囲気も、いつも通りなはず。



「…蓮美、ちょっと話せる?」


「あ〜…すみません。これから母のところに行かなきゃで。明日じゃダメですか?」


「明日でいいの?」


「え?…それはどういう…?」



もしかして、昼間のこと?



「誤解を解いておきたくて。」


「誤解…?昼間のことならほんとに何も聞いてません。だから「嘘。本当は全部聞いてたでしょ?」


「っ、……聞いてません。」


「蓮美、あれはほんとに違うんだ。」


「っ、……。」



蓮美…蓮美……なぜか難波さんの声が頭の中をこだまする。


…あれ…?難波さんの背中が歪んで見える…?フラフラする…目が回ってるみたい。


難波さんの声も意識もどんどん遠のいていく。


真横の手すりに捕まろうと手を伸ばしたところでわたしの意識は途絶えた。


それから次に目を覚ましたのは病院だった。



「あのん…。気づいた?」



視界に入り込んだのは難波さん……ではなく、お父さんだった。
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