冷徹上司の過剰な愛
「今日はあのんから先に入る?」


「…難波さんが先に…、」


「一緒に入る?僕は構わないよ?」


「っ、……先に入り、ます…っ、」


「それは残念。じゃ、先にどうぞ。」



と腕から解放されると、一目散にお風呂場へと逃げて来た。


っ、心臓が痛い…!!!ドキドキが鳴り止まない…。一緒にお風呂なんて死んでも無理だよぉ!難波さんのばかぁ。


鏡に映る顔は茹でダコ並みに真っ赤だった。


そんなわたしのことを今頃また笑ってるんだろうな。…もおっ。すぐからかうんだもん。意地悪だ!


湯船に浸かり、気持ちを落ち着かせていると、ドアの向こうから難波さんの声が聞こえ息を潜める。



「あのん?洗面台に着替え置いてるから使って?」


「……はい。」


「…早く上がらないと待てずに入るかも…?」


「えっ!?、」



息を潜めるどころか、動揺しまくりで溺れかける。



「冗談だよ。ゆっくり入っておいで。」



そう言い残し、気配を消した難波さんにホッとする。
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