冷徹上司の過剰な愛
「難波さんなんで…?」



帰ったんじゃなかったの??



「あのんがいつ目を覚ましてもいいように待機してた。すぐそこに座ってたんだけど気づかなかった?」



と指差すほうに椅子が並んでいる。その前を普通に通ってきたけど全く気づかなかった。


なんか恥ずかしいな…。



「電話の相手が僕で嬉しかったよ。」



優しく微笑みながらスマホをスーツのポケットに戻した難波さんに俯く。


正直、難波さんには言いたいことも聞きたいことも山のようにある。だけど、何をどう言葉にすればいいのか、まだ頭の中で整理出来ていない。



「とりあえず病室に戻ろう。体が冷えてしまう。」



わたしの肩を抱いて歩き出した難波さんからはいつもの大好きな匂いがした。


…わたしは難波さんの全てが好きでたまらない。他に女の人がいても構わない。難波さんとの繋がりが切れてしまうよりずっとマシだ。


だから、昼間聞いたことが本当だとしても、受け入れよう。時間は掛かっても、ちゃんと受け入れたい。


病室に戻ってくると、ベッドに横になるよう言われ、綺麗に布団まで掛けられた。



「難波さん…実は「ん。分かってる。全部聞いてたんだよね?」


「…はい。ごめんなさい。」


「なんであのんが謝るの?謝るのは僕。」


「……他に女の人がいるんですか?」
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