冷徹上司の過剰な愛
10章

指輪

「「「かんぱぁーいっ!」」」



グラスがぶつかる音が響く春の夜。季節はすっかり春になり、街はピンク色で染まっていた。


そんなある日の今日、仕事終わりに舞子と有馬に誘われ、久しぶりにお酒を飲んでいた。



「あのん、ほんとにお疲れ様!良く頑張ったね!」



と舞子の温かい手が頭に触れると、「蓮美もやれば出来るんだな。」とばかにしたように笑う有馬。


先日、やっと白鳥さんたちとの仕事が終わり、そのお疲れ様会を2人は開いてくれていた。



「でも肝心な難波さんが居ないのは残念だね。」



そう言った舞子の眉が下がる。



「残念だろうけど、海外に出張ってすごくね?課長の立場では普通あり得ない。」


「難波さん上からすごく期待されてるみたいじゃん?ほんとすごいよね。それに、部長昇進の話しも出てるって聞いた。」


「蓮美は難波さんから何も聞いてねーの?」



何かを期待するような視線が2人から向けられたけど…



「何も聞いてない。」



これは嘘でもなんでもなくて、本当に何も聞いていない。それに部長昇進の話しがあることも、たった今知った程度。
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