冷徹上司の過剰な愛
この時間だけが唯一難波さんになんの気遣いもせずにいられる。


…こんな可愛い寝顔してるくせに、会社では鬼の血相化するんだもんね。……難波さんのばか。


会社でも優しくしてくれたらいいのに!…って思う反面、それだとわたしはなんの成長もしない。



「……ふぅ。」



しばらく難波さんの寝顔を見つめ、満足すると寝室を後にした。


リビングに戻ってくるなり視界に入り込むパソコン。


あの中に白鳥さんのメッセージが……。難波さん、明日会うのかな?…別にいいけど。


パソコンを横目に帰る準備をすると、静かにマンションを後にした。


これがだいたいの流れ。


もちろん朝まで泊まる時もあるけど、だいたいは難波さんが眠りについてこっそり帰ってる。


難波さんは彼氏だけど、上司でもあるわけで……


今のわたしには彼氏という存在より上司のほうが上回る。


だから、難波さんとの間には線を引いてるつもり。


多分、難波さんはわたしに対してそんな線は引いてないと思うけど、わたしはそうはいかない。


マンションを出て数分、会社前を通るといつも肩を落とすんだよね。


またここで難波さんに叱られるんだろうな、って…。
< 23 / 230 >

この作品をシェア

pagetop