冷徹上司の過剰な愛
「好きじゃないんだ?」



足を止めた大和は振り返りながらそう言った。



「あのん。俺たちやり直さない?」


「え?……、」


「…すっげー後悔したんだ。あのんのこと振って。だから、「今更寄りを戻したい。なんて言うつもり?」



未だに握られた手をそっと引くと、大和と瞳を絡ませた。



「大和とやり直すつもりはないよ。それに、多分わたしは彼のことが好きだと思う。自分の気持ちに正直になれないだけで。」


「……あのん、」


「大和のことすっごく好きだった。でも今は……友達として好き。だからごめん。」


「…そうだよな。ん。俺こそごめん。」


「ううん。じゃわたしこのまま帰るね?みんなによろしく言っといて?」



大和に背中を向け、ひたすら足だけを動かした。


そのまま向かったのは難波さんのマンション。気づいたらここに来ていた。


…難波さんに会いたい…って思っちゃった。なんの連絡も無しに来たけど良かったかな?
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