冷徹上司の過剰な愛
というわけで、難波さんの部屋まで来てしまったはいいけど、コートを脱げない。


家を出る直前に鏡でチェックした自分の格好……あの格好を難波さんに見せるのはちょっと…。



「あのん?コートくらい脱いだら?ハンガー持って来るよ。」


「すぐ帰るので大丈夫ですっ!」


「…すぐ帰る…?僕は帰らせるつもりないんだけどな。」


「っ、でもなんの連絡も入れてなかったし、さすがに迷惑だったんじゃ…?」


「いつでも来てよ。僕は嬉しいよ?迷惑とも思わない。」


「………。」


「…さては、コートを脱げない理由でもあるのかな?例えば〜…露出してる、とか?今日のあのんは一段と綺麗だね?」


「……実は同窓会があったんです。」


「へぇ〜。それは楽しかっただろうね?」



なんて言ってくれる割には、目が笑ってないような気がするんだけど…?


あれ…?やっぱり同窓会があること言っておくべきだったのかな?


難波さんはそのままわたしに近寄るなりコートに手を掛けた。
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