冷徹上司の過剰な愛
そのまま向かったのは難波さんのマンション。難波さんのマンションは会社から徒歩10分ほどのところで、このマンションがまた高級なのだ。


この辺では一番の高層マンションで、お家賃は分からないけど、結構…いや、相当するんだと思う。



「あのんっ、」


「っ、難波、さん…?どうして?」



マンション前になぜか難波さんの姿があり、驚く暇もないまま抱きしめられた。



「…難波さん…?」


「……何してたの?来ないかと思った。」



何、って……難波さんが返却した書類を仕上げてきたんだけど…?



「書類…デスク上に置いておきました。」



そう言うと、ゆっくり体を離した難波さんと瞳が絡む。


眉を下げた難波さんの表情からは何も読み取れないところを見れば、わたしは難波さんの一番の理解者じゃないのかもしれない。


でもそれって悔しい…。



「…とりあえず中に入ろう。あのんの体冷たい。」



肩を抱かれマンション内に入ると、冷え切った体がじんわりぬくもっていくのが分かった。
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