冷徹上司の過剰な愛
そんなことを思いながら難波さんの隣を歩いていると、「浬…?」と呼び止める声に足を止めた。



「波瑠…?」



波瑠???


彼女を見るなり目を見開き驚く難波さん。


…誰?この綺麗な人は…。



「やっぱり浬だ?久しぶり。元気だった?」


「あぁ、まぁ。え、いつ帰国したの?」


「先週帰ってきたばかり。なんか、色々変わったよねぇ。ビックリしちゃった。浬もすっかり大人になってるし、一段とかっこよくなってる。」



と難波さんの腕に触れる手が嫌で、「あのっ、」と声を掛けた。



「あ、蓮美、悪いんだけど先に戻ってて。遅れて戻るから伝えといてもらえると助かるんだけど。」



…何それ。わたしは伝言係なの?……違う。わたしは部下であって彼女だ。



「嫌です。わたしは"難波さん"の伝言係じゃないので自分で連絡お願いします。じゃお先に失礼します。」



小さくお辞儀をし、その場から離れた。


"難波さん"の名前を強調したのはわざと。あの人が"浬"って呼んでたから……。2人はどんな関係?
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