【甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。】番外編 「横浜の夜は更けて」
***
ホテル・ニュー・グランドはあと数年で創業百年を迎える、老舗中の老舗。
重厚で落ち着いた内装は、ヨーロッパのクラシカルホテルを思わせる。
部屋は港に面した、眺望ばつぐんの角部屋。
みなとみらいの高層ビル群はもちろん、ライトアップした氷川丸やベイブリッジも見渡せる。
「気に入ってくれた?」
感嘆の溜息をつくわたしに、亮介さんはいつもより少し低い声で囁く。
「もちろん。こんな素敵なホテルに泊まるの初めてだから」
彼は微笑むと、わたしの手を取り、窓辺に連れて行ってくれた。
「ほら、ここからだと、マリンタワーが見えるだろう?」
わたしの髪を撫でながら、耳元で囁く彼。
「うん……そうだね」
彼の手がわたしの髪から肩へおり、じらすように指で鎖骨をなぞる。
「奈月、こっち向いて」
振り向くと、わたしの顔を両手で包み、唇を合わせてきた。
お互いの気持ちを確かめ合ってから何度も交わしたキス。
でもまだ、彼の唇が触れるたびに、ふわふわと落ちつかない気持ちになってくる。
ホテル・ニュー・グランドはあと数年で創業百年を迎える、老舗中の老舗。
重厚で落ち着いた内装は、ヨーロッパのクラシカルホテルを思わせる。
部屋は港に面した、眺望ばつぐんの角部屋。
みなとみらいの高層ビル群はもちろん、ライトアップした氷川丸やベイブリッジも見渡せる。
「気に入ってくれた?」
感嘆の溜息をつくわたしに、亮介さんはいつもより少し低い声で囁く。
「もちろん。こんな素敵なホテルに泊まるの初めてだから」
彼は微笑むと、わたしの手を取り、窓辺に連れて行ってくれた。
「ほら、ここからだと、マリンタワーが見えるだろう?」
わたしの髪を撫でながら、耳元で囁く彼。
「うん……そうだね」
彼の手がわたしの髪から肩へおり、じらすように指で鎖骨をなぞる。
「奈月、こっち向いて」
振り向くと、わたしの顔を両手で包み、唇を合わせてきた。
お互いの気持ちを確かめ合ってから何度も交わしたキス。
でもまだ、彼の唇が触れるたびに、ふわふわと落ちつかない気持ちになってくる。