【甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。】番外編 「横浜の夜は更けて」
 うわ、美男美女のキスシーン。
 もう目の保養すぎて、ドキドキする。

 まさにリアリティドラマ。
 自分のこと、ミーハーではないと思っていたけど、こんなシーンを目の当たりにすると、やっぱり胸がときめいてしまう。

 そういえばおふたりの馴れ初めは、宗介さんがドラマの役作りの取材で郁美さんの前の会社に行ったのがきっかけだって、亮介さんにちらっと聞いたけど。

 今度、郁美さんにじっくり聞いてみよう。

 わたしたちはマネージャーさんに挨拶をして、楽屋を後にした。

「亮介くん、ありがとう。おかげで宗の楽屋にも行けたし」
「いや、俺こそ来て良かったっすよ。兄貴の芝居でこんなに感動したの、初めて。やっぱ生は迫力が違いますね」

「そうね」
 橋本さんも頷いた。

「さて、腹減ったな、郁美さん、一緒にメシどう?」

「ううん。わたしはもう帰る。ひさしぶりに宗が家に帰ってくるから部屋の掃除もしないとだし。ここんとこ忙しかったから散らかりまくってるのよ。それにこれ以上、〝ほやほやカップル〟の邪魔したら悪いしね」

 橋本さんはそう言うと、じゃあ、また会社でと言って駅に向かっていった。

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