私が史上最高のヒロインになるまでのお話
1章
なれなかったヒロイン
私の名前は
花園 愛茉【はなぞの えま】17歳
私は、お嬢様で美人で望めばなんでも手に入った。
周りの大人や同級生からはお姫様だと言われ続けて
私こそ少女漫画にでてくるヒロインにふさわしいと
そう思って育ってきた。
そんなお姫様は
中学の入学式で運命の出会いをしたの。
彼の名前は青葉 蒼【あおば そう】先輩
身長がすらっと高くて
フワッとしたクリーム色の髪の毛は少しくせ毛で
女の子の憧れが詰まったような端麗な容姿。
『君の目、とっても綺麗な目をしてるね。
キラキラしててお姫様みたいだ。』
淡いブルーの瞳をした私を見て蒼先輩は
にっこり笑って話しかけてくれた。
その瞬間私は恋に落ちたの。
だって先輩の方が何倍も、何十倍もキラキラしていたから。
それから時は流れて5年後。
先輩を追いかけて同じ高校に入学をして
先輩に近ずきたくて入ったバスケ部のマネージャー。
変わらず私は蒼先輩に片思いをしていた。
モブ『愛茉ちゃーん♡今日も最高だった♡』
愛「ふんっ。終わったならさっさと出ていきなさいよ。」
そして私はすくすくとビッチになった。
ただ、蒼先輩の気を引きたかっただけなのに。
気がつけばこんな事でしか自分の存在価値を
確かめられなくなってしまった。
そんな私と正反対の女。
窓から外を眺めると蒼先輩とにこやかに歩いている
春野 雫【はるの しずく】。
私と同じクラスの女。
抜けがけなんか許さない。
急いで服を着て蒼先輩の元へ向かう。
渡り廊下に行けばまだ蒼先輩と春野は
楽しそうに話をしてる。
割り込むように私は蒼先輩の隣に立った。
愛「蒼先輩〜♡今日は愛茉と帰ろうよ〜♡」
蒼『愛茉ちゃん!ごめんね、今日は雫と
買い物に行く約束をしてるんだ。』
いつの間にか雫なんて下の名前で呼んだりして。
こんな地味でパッとしないブスより
愛茉の方がずーっと魅力的じゃない…
雫『ごめんなさい、花園さん。
もし急用なら買い物は別日でも大丈夫なのでっ』
そう言うとオドオドして蒼先輩をちらちら見て
様子をうかがっている。
愛「これで愛茉と帰れますよね?♡」
蒼『愛茉ちゃん…俺は今日雫と買い物に行くからムリだよ。急用じゃないよね?』
愛「なんでよ!!いいじゃない、愛茉と帰ろうよ!」
蒼『俺が雫を優先させたいんだ。』
そう言う蒼先輩は顔を赤らめて真っ直ぐと
春野の顔を見ている。
そして春野も先輩の言葉に恥ずかしそうに
受け止めて顔を見合せている。
なによ、こんなの愛茉って…
ヒロインじゃなくてヒロインの引き立て役の
ヒールじゃない…
愛「もういいわよっ!!」
その場を急ぎ足で離れて屋上に向かう途中で
取り巻きの男の子に声をかけられた。
モブ『愛茉ちゃん授業サボってどっかでヤらない?』
愛「今、愛茉そんな気分じゃないんだけど。」
てかこいつ彼女いるじゃない…
モブ『なになに?蒼の事雫ちゃんに取られて怒ってるの?
まぁ分かるな〜愛茉ちゃんは隣にいたら可愛いしステータス上がる感じ?でも本命にするなら雫ちゃんみたいな健気な子だよね〜』
愛「分かってるわよ…」
そんな事他人に言われなくてもわかってた。
みんな愛茉を可愛いとか好きとか言うけど絶対に
本命にされることなんかなかった。
ほんっとに気分悪い。
モブ『ごめんね?怒っちゃった?
お詫びに優しくするからさ〜』
パリーーンッ
愛「二度と愛茉近づくなよ粗チン」
モブ『ガラス割るなんて…何考えてんだよ!
身体しか取り柄がないくせに!!!』
無視してその場を離れて目的の屋上にたどり着く。
春の心地よい日差しと爽やかな風が吹いていて
心が落ち着く。
蒼先輩はきっと春野と付き合うんだろうな…
愛茉の方が好きだったのにな…
愛「うっ…ぅぅぅ…ぐすっ」
声を押し殺すように泣いていると
どこからかカーディガンが頭の上に降ってきて
顔を上げるとそこには1年生の男の子が立っていた。
??『愛茉先輩って泣く事あるんですね。』
愛「誰よあんた。」
顔を見ると息を飲むほど整った顔…
ぱっちり二重にスッと伸びた鼻筋に
軽くワックスで整えられた黒髪の男の子。
100人中100人がカッコイイと言うだろう。
そんな男の子。
??『もしかして覚えてないの?俺、一条 新だけど。』
いちじょう あらた
どこかで聞いたことあるような…
愛「どこかであったかしら?」
新『信じらんねー。バスケ部の部員だけど。』
あー…確かにいたような…。
よく女子が体育館まで見に来てた子だわ。
そしてあまりいい噂を聞いた事がない。
愛茉が言えた事じゃないけど。
新『蒼先輩に振られたの?』
愛「うるさいわねっ関係ないでしょ!」
なんでこんな年下にズケズケ言われなくちゃいけないのよ!!
慰められるどころか痛い所を突かれて
言い返す事もなく拗ねておでこを膝に
引っつけて顔を伏せる。
どうせ愛茉なんて…
新『はい。』
愛「え?」
新『愛茉先輩に飲もうと思ってたココアあげるよ。
俺のカーディガン貸してやるからそれ着てな。
屋上まだ寒いし風邪ひくなよ〜』
だからカーディガン渡してきたの…?
ココアを渡して一言言い終えると一条は
屋上から出ていった。
ぶかぶかのカーディガンに袖を通すと
彼の匂いに包まれる。
暖かいな…
まだ暖かいココアに口をつけると
心の中までポカポカしてくるようだ。
なによ、いい男じゃない。
まぁ恋愛対象外だけどね、あんな女たらし。
愛『て言うか別に振られてないわよ…』
誰にも聞こえない声でボソッとつぶやいた。
授業が終わり部活に向かうと蒼先輩が
自主練を始めていた。
やっぱりかっこいいな…
蒼先輩に見惚れていると後ろから頭をガシッと
掴まれてビクッと後ろを振り返ると
一条が立っていた。
新『俺、蒼先輩より活躍するから見とけよ。』
愛「ふんっナマイキね。手を離しなさい。」
一条と話しているとその光景に気がついた
蒼先輩が近づいてきた。
蒼『あれ?2人ってそんなに仲良かったの。
さすが愛茉ちゃんだね、新は誰にも懐かないと思ってたよ。』
一条はその言葉に返すこと無く無視して
体育館へ入って行った。
蒼『やっぱり俺は嫌われてるか、あはは…』
愛「あいつが変なだけよ。蒼先輩は
ちょうかっこい…あ…あれよ、キャプテンでみんなに慕われてるし!!」
蒼『愛茉ちゃんも?』
そう言うと蒼先輩はわざわざ目線を合わせて聞いてくる。
そんな事するから勘違いしちゃうじゃない。
もしかしたら、私もまだヒロインになれるんじゃないかって…
愛「…うん…/////」
蒼『ふふふっありがとう。』
愛茉の頭をポンポンすると自主連に戻っていった。
はぁぁぁあ…心臓止まるかと思ったわ…
撫でられたところがまだ熱い…
あぁ…大好き…本当に大好き…
諦めるなんて無理よ。
もう後戻り出来ないくらい好きなんだもん…
赤くなった顔を隠すように部活の準備を始めた。
そんな姿を一条に見られてたなんて
気づきもしないで。
試合形式の練習が始まると一条がやってきて
いつになく真剣な顔をしていた。
新『この練習勝ったら今日一緒に帰ろうよ。』
愛「蒼先輩達に?勝てるならいいわよ!
まっ期待しないで見といてあげるわ!」
新『ぜってーだからな。』
コートに向かった姿を見送り
試合を見ていると蒼先輩と一条の接戦になった。
うそでしょ…一条があんなに動けるなんて…
そう思ったのは愛茉だけじゃなくて
他の部員まで息を飲んでいた。
モブ『新のあんな顔初めて見た。』
どっちが勝ってもおかしくない状況の中
試合残り15秒のところで蒼先輩が
得点を決めて終了となかった。
あっ…
新『くそっ…』
蒼『もっと早く本気の新と戦いたかったな』
愛茉今…あいつが負けて悔しいとかおもった…?
そんなはずないわ、だって蒼先輩だけ
かっこよければそれでいいもの。
でも負けた一条も同じくらい
かっこいいとか思っちゃったわ…
部活が終わるまで一条の顔が晴れることは無く
終了時間になっても1人体育館で練習を続けていた。
たくっ…どれだけ拗ねてるのよ。
子供なんだから。
愛「早く来なさいよっ寒いわ…」
新『愛茉先輩…?』
愛「遅いのよ!この愛茉を待たすなんて!!早く行くわよ!」
花園 愛茉【はなぞの えま】17歳
私は、お嬢様で美人で望めばなんでも手に入った。
周りの大人や同級生からはお姫様だと言われ続けて
私こそ少女漫画にでてくるヒロインにふさわしいと
そう思って育ってきた。
そんなお姫様は
中学の入学式で運命の出会いをしたの。
彼の名前は青葉 蒼【あおば そう】先輩
身長がすらっと高くて
フワッとしたクリーム色の髪の毛は少しくせ毛で
女の子の憧れが詰まったような端麗な容姿。
『君の目、とっても綺麗な目をしてるね。
キラキラしててお姫様みたいだ。』
淡いブルーの瞳をした私を見て蒼先輩は
にっこり笑って話しかけてくれた。
その瞬間私は恋に落ちたの。
だって先輩の方が何倍も、何十倍もキラキラしていたから。
それから時は流れて5年後。
先輩を追いかけて同じ高校に入学をして
先輩に近ずきたくて入ったバスケ部のマネージャー。
変わらず私は蒼先輩に片思いをしていた。
モブ『愛茉ちゃーん♡今日も最高だった♡』
愛「ふんっ。終わったならさっさと出ていきなさいよ。」
そして私はすくすくとビッチになった。
ただ、蒼先輩の気を引きたかっただけなのに。
気がつけばこんな事でしか自分の存在価値を
確かめられなくなってしまった。
そんな私と正反対の女。
窓から外を眺めると蒼先輩とにこやかに歩いている
春野 雫【はるの しずく】。
私と同じクラスの女。
抜けがけなんか許さない。
急いで服を着て蒼先輩の元へ向かう。
渡り廊下に行けばまだ蒼先輩と春野は
楽しそうに話をしてる。
割り込むように私は蒼先輩の隣に立った。
愛「蒼先輩〜♡今日は愛茉と帰ろうよ〜♡」
蒼『愛茉ちゃん!ごめんね、今日は雫と
買い物に行く約束をしてるんだ。』
いつの間にか雫なんて下の名前で呼んだりして。
こんな地味でパッとしないブスより
愛茉の方がずーっと魅力的じゃない…
雫『ごめんなさい、花園さん。
もし急用なら買い物は別日でも大丈夫なのでっ』
そう言うとオドオドして蒼先輩をちらちら見て
様子をうかがっている。
愛「これで愛茉と帰れますよね?♡」
蒼『愛茉ちゃん…俺は今日雫と買い物に行くからムリだよ。急用じゃないよね?』
愛「なんでよ!!いいじゃない、愛茉と帰ろうよ!」
蒼『俺が雫を優先させたいんだ。』
そう言う蒼先輩は顔を赤らめて真っ直ぐと
春野の顔を見ている。
そして春野も先輩の言葉に恥ずかしそうに
受け止めて顔を見合せている。
なによ、こんなの愛茉って…
ヒロインじゃなくてヒロインの引き立て役の
ヒールじゃない…
愛「もういいわよっ!!」
その場を急ぎ足で離れて屋上に向かう途中で
取り巻きの男の子に声をかけられた。
モブ『愛茉ちゃん授業サボってどっかでヤらない?』
愛「今、愛茉そんな気分じゃないんだけど。」
てかこいつ彼女いるじゃない…
モブ『なになに?蒼の事雫ちゃんに取られて怒ってるの?
まぁ分かるな〜愛茉ちゃんは隣にいたら可愛いしステータス上がる感じ?でも本命にするなら雫ちゃんみたいな健気な子だよね〜』
愛「分かってるわよ…」
そんな事他人に言われなくてもわかってた。
みんな愛茉を可愛いとか好きとか言うけど絶対に
本命にされることなんかなかった。
ほんっとに気分悪い。
モブ『ごめんね?怒っちゃった?
お詫びに優しくするからさ〜』
パリーーンッ
愛「二度と愛茉近づくなよ粗チン」
モブ『ガラス割るなんて…何考えてんだよ!
身体しか取り柄がないくせに!!!』
無視してその場を離れて目的の屋上にたどり着く。
春の心地よい日差しと爽やかな風が吹いていて
心が落ち着く。
蒼先輩はきっと春野と付き合うんだろうな…
愛茉の方が好きだったのにな…
愛「うっ…ぅぅぅ…ぐすっ」
声を押し殺すように泣いていると
どこからかカーディガンが頭の上に降ってきて
顔を上げるとそこには1年生の男の子が立っていた。
??『愛茉先輩って泣く事あるんですね。』
愛「誰よあんた。」
顔を見ると息を飲むほど整った顔…
ぱっちり二重にスッと伸びた鼻筋に
軽くワックスで整えられた黒髪の男の子。
100人中100人がカッコイイと言うだろう。
そんな男の子。
??『もしかして覚えてないの?俺、一条 新だけど。』
いちじょう あらた
どこかで聞いたことあるような…
愛「どこかであったかしら?」
新『信じらんねー。バスケ部の部員だけど。』
あー…確かにいたような…。
よく女子が体育館まで見に来てた子だわ。
そしてあまりいい噂を聞いた事がない。
愛茉が言えた事じゃないけど。
新『蒼先輩に振られたの?』
愛「うるさいわねっ関係ないでしょ!」
なんでこんな年下にズケズケ言われなくちゃいけないのよ!!
慰められるどころか痛い所を突かれて
言い返す事もなく拗ねておでこを膝に
引っつけて顔を伏せる。
どうせ愛茉なんて…
新『はい。』
愛「え?」
新『愛茉先輩に飲もうと思ってたココアあげるよ。
俺のカーディガン貸してやるからそれ着てな。
屋上まだ寒いし風邪ひくなよ〜』
だからカーディガン渡してきたの…?
ココアを渡して一言言い終えると一条は
屋上から出ていった。
ぶかぶかのカーディガンに袖を通すと
彼の匂いに包まれる。
暖かいな…
まだ暖かいココアに口をつけると
心の中までポカポカしてくるようだ。
なによ、いい男じゃない。
まぁ恋愛対象外だけどね、あんな女たらし。
愛『て言うか別に振られてないわよ…』
誰にも聞こえない声でボソッとつぶやいた。
授業が終わり部活に向かうと蒼先輩が
自主練を始めていた。
やっぱりかっこいいな…
蒼先輩に見惚れていると後ろから頭をガシッと
掴まれてビクッと後ろを振り返ると
一条が立っていた。
新『俺、蒼先輩より活躍するから見とけよ。』
愛「ふんっナマイキね。手を離しなさい。」
一条と話しているとその光景に気がついた
蒼先輩が近づいてきた。
蒼『あれ?2人ってそんなに仲良かったの。
さすが愛茉ちゃんだね、新は誰にも懐かないと思ってたよ。』
一条はその言葉に返すこと無く無視して
体育館へ入って行った。
蒼『やっぱり俺は嫌われてるか、あはは…』
愛「あいつが変なだけよ。蒼先輩は
ちょうかっこい…あ…あれよ、キャプテンでみんなに慕われてるし!!」
蒼『愛茉ちゃんも?』
そう言うと蒼先輩はわざわざ目線を合わせて聞いてくる。
そんな事するから勘違いしちゃうじゃない。
もしかしたら、私もまだヒロインになれるんじゃないかって…
愛「…うん…/////」
蒼『ふふふっありがとう。』
愛茉の頭をポンポンすると自主連に戻っていった。
はぁぁぁあ…心臓止まるかと思ったわ…
撫でられたところがまだ熱い…
あぁ…大好き…本当に大好き…
諦めるなんて無理よ。
もう後戻り出来ないくらい好きなんだもん…
赤くなった顔を隠すように部活の準備を始めた。
そんな姿を一条に見られてたなんて
気づきもしないで。
試合形式の練習が始まると一条がやってきて
いつになく真剣な顔をしていた。
新『この練習勝ったら今日一緒に帰ろうよ。』
愛「蒼先輩達に?勝てるならいいわよ!
まっ期待しないで見といてあげるわ!」
新『ぜってーだからな。』
コートに向かった姿を見送り
試合を見ていると蒼先輩と一条の接戦になった。
うそでしょ…一条があんなに動けるなんて…
そう思ったのは愛茉だけじゃなくて
他の部員まで息を飲んでいた。
モブ『新のあんな顔初めて見た。』
どっちが勝ってもおかしくない状況の中
試合残り15秒のところで蒼先輩が
得点を決めて終了となかった。
あっ…
新『くそっ…』
蒼『もっと早く本気の新と戦いたかったな』
愛茉今…あいつが負けて悔しいとかおもった…?
そんなはずないわ、だって蒼先輩だけ
かっこよければそれでいいもの。
でも負けた一条も同じくらい
かっこいいとか思っちゃったわ…
部活が終わるまで一条の顔が晴れることは無く
終了時間になっても1人体育館で練習を続けていた。
たくっ…どれだけ拗ねてるのよ。
子供なんだから。
愛「早く来なさいよっ寒いわ…」
新『愛茉先輩…?』
愛「遅いのよ!この愛茉を待たすなんて!!早く行くわよ!」