夫婦間不純ルール
頭の中がグラグラする、もしかして私は彼に騙されていたのだろうか? いや……私が勝手に奥野君は私と似た境遇だと思い込んでいただけで、本当は違っていたのかもしれない。
でも、どこか裏切られたような気持ちは私の中にあって。どうしようもない悲しみと苛立ちを感じてしまっていた。そんな権利、私には無いと分かっているのに。
「雫、少し外の空気を吸いに行こう。やはり顔色が良くない、俺に寄りかかってていいから」
「ごめんなさい、迷惑かけてしまって……」
そう言ってくれた彼に寄りかかるようにして、外に出る。奥野君達からは見えないように、夫の陰にこの身体を隠して。
そういえばこうして岳紘さんにしっかり触れるのは随分久しぶりな気がする。日常生活で手などが触れることは数回あったけれど、今日は強く身体を抱き寄せられている。平気なのだろうかと、少し心配になった。
「近くに公園があるみたいだ、そこで休もうか。柳澤さんには俺からメッセージを送っておくから、心配しなくていい」
「うん、ごめんなさい」
それしか言えない。まさか岳紘さんも私が他の男性が奥さんと仲良さげなところを見て、ショックを受けているとは夢にも思っていないはずだから。
私自身も、正直こんなに心を締め付けるような気持ちになるとは思っていなかった。それなのに……