夫婦間不純ルール
「そうなのか、それなら頑張らないとな。試験まで俺も出来るだけ雫が勉強できるよう協力する」
「ありがとう、岳紘さん。試験前になると流石に家事を完璧にとはいかなくなると思うの、それは許してほしいと思って」
その日の夜、夕食の時間に岳紘さんに今日あった出来事を話した。自分でもちょっと嬉しかったからか、久しぶりに機嫌良く夫と話すことが出来た。
あの日からまたぎこちない雰囲気に戻ってしまっていたけれど、やっと少しだけ自然に会話をした気がする。それもやっぱり気持ちをホッとさせてくれて、二人で食べる夕食を美味しく感じた。
「ああ、それは全然構わない。普段は雫に甘えすぎていると思ってたんだ、ちょうど良い機会だから俺ももっと家の事を覚えるよ」
「岳紘さんは休日、十分手伝ってくれてると思うけれど。せっかくだから甘えさせてもらうわ、ありがとう」
私と気まずくなっても、岳紘さんが休日の手伝いをしないという事は無かった。私が外出している間に掃除機をかけたり、庭の手入れをしてくれていたりと何かしらやってくれていて。
だからこそ、今も他の女性を愛している彼をまだ完全に嫌いになれないでいる。そこに私への思いやりもあることを気付いてしまってるから。