夫婦間不純ルール
正直、少しのお酒は入っているが食事もそこそこに帰ってきたのもあってお腹はすいている。でもこんな時間だし、今日はこのまま休んでしまうつもりだったのだけど……
されるとは思ってもいなかった質問に、私はうっかり素直に「はい」と答えてしまったのだ。
「そうか、ちょうど雑炊が出来上がったところなんだ。少し作りすぎてしまったし、雫も食べるならと思って」
「そう、なの?」
簡単な料理くらいなら岳紘さんが作れることは知っていた。それでも日々の食事の支度は私がするようにしていたから驚いてしまう。
作りすぎてしまったと彼は言っているが、見せてくれたお鍋には二人前以上の雑炊が湯気を立てている。もしかして、最初から私の分も……なんて、思ってしまうのだけど。
「君は疲れているだろうから座っているといい、準備は俺がするから」
「え? そんなわけにはいかないわ、私も……」
そう言ったのだが「いいから!」と岳紘さんにキッチンから追い出されてしまった。普段の夫からは予想も出来ない彼の言動に、私はただ驚いて大人しくリビングのテーブルで食事の準備が終わるのを待っているしかなかった。
「雫の料理ほど美味しくはないだろうけれど、食べられないほどまずいと言うことはないはずだから」
「そんなことないわ、いい香りだし作ってくれて嬉しい。いただきます」
私の作る食事を美味しいと褒めてくれたことは何度かあったけれど、こんな風に言われるとテレる。それを誤魔化すように私は手を合わせ、蓮華で雑炊を掬い口に運んだ。