夫婦間不純ルール
ピピッ、ピピッ、ピピッ……
聞きなれたアラーム音で目が覚める、どうやら昨日はあのままベッドで眠ってしまったいたらしい。
シャツがクシャクシャになってしまったかもしれないと服を確認すると、何故かいつものパジャマに着替えていて。
「どうして……」
寝ぼけて着替えたとは思えない、だとすれば考えられる可能性は一つしかなく。けれども何故岳紘さんがそんな事をしたのかが分からない。いつもならば必要以上には私に触れようとはしないのに。
けれどもそんな事をのんびり考えている暇はない、朝食の支度や仕事の準備とやることはたくさんあるのだから。私はさっさとパジャマの釦を外すと、着替えをすませキッチンへと向かった。
「え? どういうこと」
いつもなら綺麗に片付けられている筈のテーブル、その上には一人前の朝食が用意されていて。不思議に思ってよく見ると、料理の横に小さなメモ用紙が置いてあった。
彼がどうしてこんな事を? でもこの家に住んでいるのは私と夫だけ、混乱しながらも手に取ったメモ用紙を開いて読んでみた。
『疲れているようだから、今朝の用意は俺がやっておく。雫はゆっくりして仕事に行くと良い』
今までこんな事をしてくれたことはない。それなりに気を使ってくれてはいたけれど、それでも昨日今日と岳紘さんの行動は明らかにいつもと違っていた。