夫婦間不純ルール
「告白、ね。私にも告白をするくらいの勇気があれば、何か変わるのかもしれないけど今さらよね」
「え、どういうこと? もしかして麻理ってば好きな人ができたりしたの」
私のことを揶揄って遊んでいたくせに、自分の事になるとなかなか話してくれないのが麻理だ。特に恋愛関係については、一度も相談されたことなどなかった。
何度か好きな人はいないのかと聞いたこともあったが、いつも笑って誤魔化されて。そんな麻理の口から零れ落ちた「告白」という言葉に私も驚いてしまって。
「さあね? これが恋愛の好きかも私には分からないし、伝えたところで相手を困らせるって知ってるから」
「だけど……ううん、何でもない」
もしかしたら麻理が好きになった相手には何か事情があるのかもしれない。だけどそれを問い詰めるようなことは出来なかった、自分も麻理に話せないような事を奥野君と約束してるから。
私は既婚者で岳紘さんという夫がいながら、同じく既婚者の奥野君と辛い時に慰め合う不思議な関係になった。性的な意味合いは無くても、そこに全く感情がないわけじゃなくて。
何かの間違いが起こる可能性はゼロではないと分かっていても、あの提案は今の私にとって助け船のように思えたのだ。だから……
「私は麻理が選ぶ道を応援する、それがどんな結果になっても私は麻理の味方でいるから」
「はいはい、分かってるわよ。雫が私を大事な親友だって思ってくれてるって、それでけで十分だもの」