夫婦間不純ルール
何となく今日の麻理の笑顔はいつもと違って見えて、胸の奥がざわざわする。理由は分からないけれど、スコールでも来そうなどこか空気が落ち着かない感じ。
……でもそのわけはすぐに目の前にいる麻理の口から聞くことになる。
「私ね、今度お見合いするの。相手は大企業のエリート社員だって、どう考えても不釣り合いで笑い話みたいだと思わない?」
「麻理がお見合い……?」
絶対に恋愛結婚するとばかり思っていた麻理からの突然の告白。いつの間にそんな話が出ていたのだろう、想像もしなかったしまさに寝耳に水の状態。
姉のようで妹のようでもある親友の麻理が、私の知らない男性とお見合い結婚するなんて。
「ただのお見合いよ、別に今すぐ結婚するわけじゃないわ。でも相手の男性は、結婚を前提にと考えているみたいね」
「そう、なんだ」
確かに麻理の家は裕福で、彼女も良い大学に行き一流企業に就職している。彼女の両親が結婚を急かしてることは何となく知ってはいたけれど、本人は納得してるのだろうか?
もしさっき話していたみたいに麻理に本当は好きな人がいるとすれば、とてもじゃないが賛成できない。そう思っていたのだけど……