異世界召喚 (聖女)じゃない方でしたがなぜか溺愛されてます
101 人生一生勉強
この世界に存在する魔法全部の属性があると言われても、私には壮大すぎて想像もつかない。
「落ち着いてください。大丈夫、私がついています」
怖がる私の手を握り、アドルファスが優しくそう言ってくれた。それだけでパニックになりかけた私は気持ちが落ち着いた。
「ほお…ユイナ殿はレインズフォード卿のことをかなり信頼しているのだな」
その様子を見て国王がニマニマと微笑む。
「ええ、私達は将来を誓いあった仲ですから」
握った手にキスを落とし、ドヤ顔でそう言う。
「え、やっぱり? そうだと思っていました。おめでとうございます」
アドルファスを怖がっていた財前さんも、彼が私を救うため躊躇うことなく魔巣窟に飛び込んだことから、すっかり尊敬するようになっているらしい。
「今度領地へ行って両親にも紹介するつもりです」
本当は他にも目的があるのだけど。
避妊リングの件は、クムヒム神官に先に事情を説明し、「判定の玉」の件が済んだら、帰りに神殿に寄る予定になっている。
そしてそのまま、領地のアドルファスさんのご両親に会いに行くつもりでいる。
「両親に合わせたら、すぐに婚約を発表し、式の準備に取り掛かる予定です」
「前公爵にか…そうか」
国王はアドルファスの母親の事情を知っているそうで、意味ありげに頷く。
「おめでとうございます」
「ありがとうございます。アドキンス殿」
祝の言葉を口にするアドキンス氏にお礼を言う。
「実を申せば、私もユイナ様に心惹かれておりました」
「え、あの…」
薄々気づいていたけど、この場で言われるとは思わなかった。
アドルファスが鋭い視線を向ける。
「過去の話です。私にはレインズフォード卿のように、あなたを追って魔巣窟に飛び込む勇気はございません。そこまではユイナ様を想いきれておりませんでした」
アドルファスの視線にたじろぎ、苦笑いする。
「カザール殿もそうでしょう」
不意にカザール氏が話を振られ、皆で彼を見る。
「アドキンス殿もお人が悪い。しかし、私は異性としてと言うより、あなたには聖女としての力があるのではと、ずっと疑っていて、そういう意味で気になっておりました」
「そうなのですか?」
彼の隣にいる財前さんが尋ねた。
「『判定の玉』が壊れる直前、何か反応があったように見えました。多分私が立っている位置からしか見えなかったのでしょう」
確証ないことだったため、何も言わずにいたのだと彼は言った。
「あの、ところで先生がそんなに色んな適性があるとわかって、これからどうなるのですか」
それは私も聞きたい。
もしかしたらアドルファスとの今後の関係にも影響があるかも知れないことだ。
「本来なら若いうちに属性の適性を判定し、それらを伸ばすために訓練をします。そしてある程度訓練した後、より適性の高い属性を伸ばします」
アドキンス氏が教えてくれる。
「訓練するうちに伸び悩む属性が出てくる。適性と得意なものは違うから。大体数年は掛かる」
「そうなんですか…でも、それを今から私もするということなのですか?」
人生一生勉強とは言え、今の年齢から魔法について学び、得意なものとそうでないものを振り分けていくというのは、数年は掛かるというなら、アドルファスとの結婚も先延ばしになるのだろうか。
「何もかも初めてのことなので、これから決めていくことになるでしょう。あなたの意思を尊重しつつ、決めていけばいい。でも私はあなたとの結婚を先延ばしにするつもりはありません。それだけは変わりません」
断固とした決意の言葉だった。
「ははは、レインズフォード、そなたがそこまで言い切るとは、余程彼女に惚れ込んでいるのだな。レインズフォードらしいと言えばらしいな。そなたの父親を思い出す。周囲が体の弱い令嬢は止めておけと言っても、彼は受け入れなかった」
この前聞いたアドルファスの両親の話を国王が持ち出した。
「しかし、前例がないこと故に、彼の言うことももっともだ。国としては不足している属性を伸ばしてほしいところではあるが、それも平均より劣るなら、そこに今から時間を費やすのも考えものだ」
「魔法学校の初等科で特別授業をしつつ、様子を見てはいかがでしょう」
「しょ、初等科?」
それは小学校のこと?
「初等科はあくまで魔法の基礎を学ぶところです。学ぶ者は十歳より前の者もいれば、十代半ば…聖女レイと同じくらいの者もいます」
「そ、そう…」
小学生に混じって学べと言うなら仕方がないが、もう少し年齢が上の生徒もいると聞いてほっとした。
社会人を経て学生に戻る人もいるから、それと同じだと思えば何とかなりそうだ。
今後のことは私達が領地から戻ってきてからと言うことで、その場は解散になった。
「落ち着いてください。大丈夫、私がついています」
怖がる私の手を握り、アドルファスが優しくそう言ってくれた。それだけでパニックになりかけた私は気持ちが落ち着いた。
「ほお…ユイナ殿はレインズフォード卿のことをかなり信頼しているのだな」
その様子を見て国王がニマニマと微笑む。
「ええ、私達は将来を誓いあった仲ですから」
握った手にキスを落とし、ドヤ顔でそう言う。
「え、やっぱり? そうだと思っていました。おめでとうございます」
アドルファスを怖がっていた財前さんも、彼が私を救うため躊躇うことなく魔巣窟に飛び込んだことから、すっかり尊敬するようになっているらしい。
「今度領地へ行って両親にも紹介するつもりです」
本当は他にも目的があるのだけど。
避妊リングの件は、クムヒム神官に先に事情を説明し、「判定の玉」の件が済んだら、帰りに神殿に寄る予定になっている。
そしてそのまま、領地のアドルファスさんのご両親に会いに行くつもりでいる。
「両親に合わせたら、すぐに婚約を発表し、式の準備に取り掛かる予定です」
「前公爵にか…そうか」
国王はアドルファスの母親の事情を知っているそうで、意味ありげに頷く。
「おめでとうございます」
「ありがとうございます。アドキンス殿」
祝の言葉を口にするアドキンス氏にお礼を言う。
「実を申せば、私もユイナ様に心惹かれておりました」
「え、あの…」
薄々気づいていたけど、この場で言われるとは思わなかった。
アドルファスが鋭い視線を向ける。
「過去の話です。私にはレインズフォード卿のように、あなたを追って魔巣窟に飛び込む勇気はございません。そこまではユイナ様を想いきれておりませんでした」
アドルファスの視線にたじろぎ、苦笑いする。
「カザール殿もそうでしょう」
不意にカザール氏が話を振られ、皆で彼を見る。
「アドキンス殿もお人が悪い。しかし、私は異性としてと言うより、あなたには聖女としての力があるのではと、ずっと疑っていて、そういう意味で気になっておりました」
「そうなのですか?」
彼の隣にいる財前さんが尋ねた。
「『判定の玉』が壊れる直前、何か反応があったように見えました。多分私が立っている位置からしか見えなかったのでしょう」
確証ないことだったため、何も言わずにいたのだと彼は言った。
「あの、ところで先生がそんなに色んな適性があるとわかって、これからどうなるのですか」
それは私も聞きたい。
もしかしたらアドルファスとの今後の関係にも影響があるかも知れないことだ。
「本来なら若いうちに属性の適性を判定し、それらを伸ばすために訓練をします。そしてある程度訓練した後、より適性の高い属性を伸ばします」
アドキンス氏が教えてくれる。
「訓練するうちに伸び悩む属性が出てくる。適性と得意なものは違うから。大体数年は掛かる」
「そうなんですか…でも、それを今から私もするということなのですか?」
人生一生勉強とは言え、今の年齢から魔法について学び、得意なものとそうでないものを振り分けていくというのは、数年は掛かるというなら、アドルファスとの結婚も先延ばしになるのだろうか。
「何もかも初めてのことなので、これから決めていくことになるでしょう。あなたの意思を尊重しつつ、決めていけばいい。でも私はあなたとの結婚を先延ばしにするつもりはありません。それだけは変わりません」
断固とした決意の言葉だった。
「ははは、レインズフォード、そなたがそこまで言い切るとは、余程彼女に惚れ込んでいるのだな。レインズフォードらしいと言えばらしいな。そなたの父親を思い出す。周囲が体の弱い令嬢は止めておけと言っても、彼は受け入れなかった」
この前聞いたアドルファスの両親の話を国王が持ち出した。
「しかし、前例がないこと故に、彼の言うことももっともだ。国としては不足している属性を伸ばしてほしいところではあるが、それも平均より劣るなら、そこに今から時間を費やすのも考えものだ」
「魔法学校の初等科で特別授業をしつつ、様子を見てはいかがでしょう」
「しょ、初等科?」
それは小学校のこと?
「初等科はあくまで魔法の基礎を学ぶところです。学ぶ者は十歳より前の者もいれば、十代半ば…聖女レイと同じくらいの者もいます」
「そ、そう…」
小学生に混じって学べと言うなら仕方がないが、もう少し年齢が上の生徒もいると聞いてほっとした。
社会人を経て学生に戻る人もいるから、それと同じだと思えば何とかなりそうだ。
今後のことは私達が領地から戻ってきてからと言うことで、その場は解散になった。