僕たちの関係「共犯者」
「共犯者さんが行きたいところならどこでもいいわ」

結月はいつもそう答える。だが、行った先で文句を言うことなく穏やかな顔をしてくれるため、空は全く気にしていない。むしろ、空は結月と出かけることができることが嬉しいのだ。

「じゃあ、カラオケ行かない?」

「ええ、そうしましょう」

学校から少し離れたところにあるカラオケボックスへと二人は向かう。どうやら結月はカラオケに行くのは初めてなようだ。

「私、歌はあまり知らないわよ」

「いいよ。知ってる歌を歌うのがカラオケなんだから」

そう言いながら二人はカラオケボックスの中に入り、受付を済ませて案内された部屋に入る。部屋の中にある大きな画面には、人気アーティストの新曲の情報が映し出されていた。

「何か頼む?」

メニュー表をジッと見ている結月に空が声をかけると、「あなたが食べたいなら」と髪に触れながら返された。その頰はどこか赤く染まっており、その様子に空はクスリと笑いながら「了解!」と言った。
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