僕たちの関係「共犯者」
空はグルリと首を動かして後ろを見る。思い思いに過ごす生徒たちの後ろを、結月が少し俯きがちに出て行く。その手には一冊の本とお弁当箱があった。

「いつも通り屋上かな」

空もお弁当箱を片手に結月の後を追う。屋上は一年生の教室から約五分ほど離れたところにある。

屋上の分厚い扉を開けると、美しい青空が空の目に映る。そして青空の下、屋上で一人で結月が黙々とお弁当を食べていた。

「結月さん!」

空が駆け寄ると、結月は眉を一瞬顰めたものの何事もなかったかのようにお弁当を食べるのを再開する。その隣に空は座り、自分のお弁当箱を開けつつ結月が食べているお弁当をチラリと見た。

「結月さんのお弁当、すごくおいしそう!特にそのだし巻き卵とか。自分で作ってるの?」

「……私の家、親は仕事でほとんど家にいないからご飯は自分で用意してる」

淡々と話しながら結月はふりかけがかけられたご飯を食べる。どこか素っ気ない態度だが、空は子どものような無邪気な笑みを浮かべる。
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