僕たちの関係「共犯者」
「料理できるってすごいよ!僕さ、卵焼き作ったら真っ黒焦げだし、中学の時の調理実習で作ったスコーンは何かよくわからないまずい物体になって怒られたんだ〜」

「……そう」

結月はそう言った後、食べ終わったお弁当箱を片付け、持ってきた本を開いて読み始める。芥川賞を受賞した小説だ。漫画派の空はその難しそうなタイトルを見ながら、「それ、面白い?」と訊ねた。

「面白い人は面白いんじゃない?」

冷たい口調で面倒臭そうに答える結月を見て、空はあることを思った。そっと手を伸ばして本を結月の手から奪う。

「ちょっと」

怒るというよりは、呆れているような態度で結月は顔を上げる。そんな彼女に空はスマホの画面を見せる。そこには、彼がダウンロードしている漫画を無料で読めるアプリがあった。

「漫画、一緒に読まない?多分その小説より面白いと思うけど」

「私、親から漫画を読むなって言われてるんだけど」

「ここに親はいないし、いいでしょ?」

「なら、あなたのオススメを読ませて」
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