幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
…と、思っていたのに……
「ほら、おいで」
室内のシャワールームで、貴晴さんは手招きする。
「む、無理無理無理! ムードは?ロマンチックな雰囲気は!?」
「何言ってる。十分だろ。非日常の空間は、人間の本能を掻き立てる」
何言ってるのこの人!
冬だから、もう外は暗い。
だけどまだ、私が思っていた夜じゃないんだけど!
とはいえ、私の今の格好はもう寸前。
夕食が終わって戻ってきたら、ピッタリくっついた布団にドキッとするところまではお約束。
貴晴さんは唐突に私の浴衣の紐を解き、身ぐるみを剥がされて今に至る。
一緒に風呂に入ろう、と言うのだ。
なんで!?