幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
ベッドに転がったまま枕に突っ伏す私の横にやってきて、全然反省してない顔をする。

ちらりと見上げると、すかさず唇が触れる。

「上目遣い。誘ってる?」

「ばか言わないで!」

貴晴さんは楽しそうに肩を揺らす。

大好きな人と愛し合った幸福。そんなものに浸る暇を与えてくれなかった。
がっつきすぎ!壊れちゃう!と私が文句を言うと、熱を孕んだ瞳で見つめて言うのだ。

『今まで我慢してきた分、抑えられそうにない』

そうして迎えた朝。私の体は悲鳴をあげている。
もう動けない。

「怒ってるけど、最中は可愛い顔してた。 一椛が煽るのもいけない」

生々しい話をしないで。

「そんなつもりはないんだけどなー…」

幸せ。嬉しい。好きな人と一緒に迎える初めての朝。
この疲労感でさえも、幸福のうちに入ってしまうのだろうか…。

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