幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
戸棚に常備してあるインスタントのスープを溶いてテーブルに運ぶ。

日本人以外の…しかも良いとこのお嬢様のお口に合うか心配だったけれど、アンさんは1口飲んで、美味しいと言ってくれた。

「少しは温まりましたか?」

「ええ。ありがとう」

私は微笑む。すると、アンさんが真剣な眼差しで私を見つめる。

「イチカは、タカハルと喧嘩とか、したことある?」

唐突な質問だ。私は考える。
喧嘩…したことあっただろうか。思い当たらない。

「子どもの頃はすることもあったけど……今は、ないです。基本貴晴さんが大人なので…」

「そう……」

アンさんがしゅんと肩を落としてしまう。

「あの、何かあったんですか?」

踏み込んでいいものか迷ったけれど、明らかに落ち込んでいる彼女をスルーはできなかった。
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