幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「話を聞いただけですけど、ケンさんは、律儀に片膝ついて愛を囁いてくれそうですね」

「ケンは恥ずかしげもなくそういうことを言うからね。こっちが参っちゃうわ」

言いながら、アンさんの顔が赤くなっている。
私はふふ、と笑って言う。

「会いたくなっちゃいますね、ケンさんに」

「明日、帰ってちゃんと謝るわ」

「それがいいです」

良かった。ふたりの恋は、いい方向に進んでいきそうだ。

私たちはお泊まり会みたいなテンションで夜中まで話が尽きなかった。

どちらからともなく眠りに落ちて、目が覚めると外は明るい。

普通に平日なので、慌てて起き出すと、とっくに起きてスーツ姿の貴晴さんが朝食を用意してくれていた。
ちゃんと三人分だ。
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