幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「ごめん、寝坊しちゃった。 朝ごはん、ありがとう」

「夜中まで話してたんだろ。 楽しかったか?」

「うん。とっても。 アンさんも、彼と仲直りするって」

「そうか。 なら今日は、一緒に寝れるんだな」

なんだかんだ、貴晴さんもアンさんを嫌っているわけではないから、こうして朝ごはんを作ってくれるし、仲直りと聞いてほっとしている。

私が寝室に戻ってくるからなのかもしれないけれど。

3人で朝食を取り、家を出る。

「それでは、アンさん。また遊びにきてくださいね」

「ええ! 本当にありがとう、イチカ。今度お礼をさせてね」

「もう喧嘩するなよ」

イコールうちに来るな、に聞こえる。
アンさんも汲み取ったのか、キッと睨みを効かせて言う。

「タカハルは、いつまでもヘタってるとイチカを取られるわよ!」

「何の話だ」

朝から空気が不穏になってきたので、私はふたりを引き剥がし、アンさんを見送って貴晴さんと会社に向かった。

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