幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
その日のうちに、アンさんから『仲直りしたわ』とメッセージが入った。
私がアンさんと連絡先を交換したと知った貴晴さんは、『俺との時間を尽く邪魔されそうだ』と渋い顔。
私は新しい友達ができて嬉しいんだけどな。なんて言ったら落ち込んでしまいそうなので言わないでおいた。
プロポーズ…。指輪はもらっているし、今更感がすごい。
そりゃあ、改めて言われたら、嬉しくないわけはないけれど。
今、貴晴さんと何気ない日常を過ごすだけで、私は十分幸せだ。
そんなある日曜日、貴晴さんからデートに誘われた。
カフェで遅めの朝食をとり、海辺を散歩する。
日頃の仕事の疲れが吹き飛ぶような、穏やかなお出かけだ。
天気は快晴で、いつもよりも気温は高め。
歩いていると、ウールカーディガンは少し暑くも感じた。
うぐいすが鳴くのを聞くと春だなぁと穏やかな気持ちになる。