幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


季節は春から夏に移り変わり、毎日暑い日が続いている。

「一椛、それだけでもつのか?」

貴晴さんのぶんの朝食は目玉焼きにトーストにと結構ボリューミーだ。いつもは私も同じものを食べるのだが、今日はゼリーワンカップをちびちび食べている。

ご飯が大好きな私にしては珍しいことだ。

「最近、食欲なくて」

「大丈夫か? 念の為病院に…」

貴晴さんも、いつももりもり食べる私の変化に訝しげな顔をする。

「大袈裟。 ただの夏バテだから平気よ」

ここのところ全国的にも猛暑日が続いているし、きっとそうだ。

心配げな貴晴さんに対して、私は楽観的でいた。
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