幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない

キッチンは広めがいいという私の希望と、部屋はいくつかほしいという貴晴さんの意見に合う部屋がその日のうちに見つかった。

白基調の広々とした高層マンションは、西園寺グループの所有だそうで、オーナーさんの計らいで引越しは入籍後すぐ、とかなりスピーディーに話が進展する。

不動産屋さんと別れて、私たちは帰り道にあるカフェで休憩していくことにした。

軽食とドリンクが運ばれてきたところで、気になっていたことを口にする。

「そういえば、貴晴さんはどうして部屋の数にこだわったの? 仕事部屋とか?」

「まあそれもあるけど。 一番は将来のことだな」

ピンと来ない私は、小首を傾げる。

「子供ができたら、ひとり部屋はほしいだろう」

真剣な顔で言う貴晴さんの言葉に、私はサンドイッチを喉につまらせそうになる。
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