幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「こ、こ、ども…って、」

「将来的には一軒家を建てたいけど、一椛は?」

「え、そ、そりゃ、マイホームに憧れはあるけど……そ、そうじゃなくて! こ、こども!?」

「女の子なら、一椛に似たら絶対可愛いと思う」

「は、いや、早い!ちょっと、話が早くない!?」

「そうか?」

「そ、そそそうだよ! 早い!私たちにはまだ…!」

貴晴さんは腑に落ちない顔だけれど、私としてはこの話をこのまま続けられるのは困る。

だって、おかしいでしょう。

私たちは、好きどうしじゃない。
愛し合って結婚するわけじゃないんだから。

はぁぁ…。貴晴さんが何を考えているのかぜんぜん分からないよ…。
急に子どもの話とか、心臓に悪いからやめてほしい。

私たち、手を繋いだのもついさっきだよ。
キスなんて、挙げたとしたら結婚式での1度きりに決まってる。

そもそも、貴晴さんには別な好きな人がいるんだよね?
シンガポールの彼女とはどうなったのだろう。

貴晴さんの突拍子もない一言に、私はしばらく頭を悩ませたのだった。



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