幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


「ふわぁ〜! ね、ハルくん、小籠包!小籠包食べよ!」

いい香りがあちこちから…!
食べてる時に一番の幸せを感じる私にとって、グルメ街は天国に等しい。

「わかったから、落ち着けって。まったく」

もう、貴晴さんてば。
あのふわふわな皮に詰まったお肉と肉汁を想像して冷静でいられるなんて信じられない!

「小籠包ひとつください!」

「お!ねーちゃん、隣は彼氏かい? よし、1個負けとこう!」

気前のいいおじさんが、カップに熱々のそれをひとつ追加してくれた。

「ありがとうございます! ハルくん!」

満面の笑みで彼を仰ぎ見ると、貴晴さんは口元を緩めて笑ってお礼を口にする。

「お前って昔から人にモテるよな、ほんと」

「えへぇ、そうかなぁ」

ニマニマする私を見下ろして、貴晴さんは眉を下げて微笑む。
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