幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「子供の頃、一椛と商店街を通るとコロッケとか野菜とか果物とか。いろいろもらっただろ。随分可愛がられていたよなぁ」

「それは貴晴さんもじゃない? コロッケ屋のおじちゃんにいつも勉強見てもらってたよね。私も一緒に。おかげで私たち、学年は違ったけど、中学高校はトップを譲らなかったもの」

五つ離れているので、一緒に通った訳ではないけれど、同じ中学、高校の先輩後輩でもあるのだ。

「そういえば、そうだったな」

「元気かな、おばさんも」

「今度行くか。ついでに実家にも顔だそう」

「実家の方がついでなのね」

貴晴さんと結婚する時、挨拶という名の雑談を玄関先でしたきりになっていたし、いいかもしれない。

「ああ、そろそろ両家で食事会しないとな。親父がまだかまだかってうるさい」

「そうねえ。四宮も楽しみにしてるよ。あの人たちは普通に友人に会えると思ってる節があるわ」

「まあ、実際はただの団欒になるだろうな」

「あんまり堅苦しいのは疲れるし、それくらいでいいかも」

うん、家族ぐるみの付き合いだとこの辺りが楽でいいよね。
< 34 / 126 >

この作品をシェア

pagetop