幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「はい。変わりなく過ごしておりました。貴晴さんも、お元気そうで」

「ああ。おかげさまで」

貴晴さんが隣にいる。ずっと、並びたかった場所。だけどやっぱり、心は少しだけ重たい。

「今日はありがとうございます。こうしてまた貴晴さんに会えて、嬉しいです」

「大袈裟だな。でも、俺も嬉しいよ。一椛、すっかり大人になったな。すごく綺麗だ」

「そ、そんな…。ありがとうございます、嬉しいです」

貴晴さんはなんの躊躇いもなくスラスラと私を褒める言葉を紡ぐ。
綺麗だ、なんて、男性に褒められたのは初めてかもしれない。
全身がぼっと熱くなる。
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