幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


エントランスには、正装の男性や美しく着飾った女性が目立つ。
今日このホテルで行われるパーティーの参加者だろう。

私は控え室に案内されたのだが、じっとしているのは落ち着かなくて、方々から贈られてきた祝花のセッティングを買ってでた。

おかげで来賓の面々の人間観察ができる。この後貴晴さんと挨拶をしなければならない人たちだ。少し場の空気に慣れておきたかったのでちょうど良い。

「あの、すみません」

ドレスをまだ着ていない私をホテル側と思ったのだろう。
振り向くと、背の高い女性が困ったように眉をひそめて立っていた。

「どうされましたか?」

つい反射でスタッフさながらの対応をしてしまう。
まあ、いいや。私で手に負えないことなら、本物のコンシェルジュに引き継げば良いのだから。

「西園寺貴晴社長とお会いしたいのですが…どちらにいらっしゃるかわからなくって」
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