幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


パーティーから二週間が経とうとしていた。
世間はすっかり冬一色。クリスマスモードのお店もある。
ショウウィンドウの可愛らしい雪だるまが、笑っている。

反対に、ガラスに移る私の顔は暗い。

貴晴さんは、毎日私とほぼ同じ時間に退勤する。
関係がバレてしまわないように、一緒に帰るわけではないけれど、真っ直ぐ家に帰ってくる。

そうして、私が作った夕飯…たまに一緒に作って、一緒に食事をする。
順番にお風呂に入って、寝るまでの時間、リビングでまったりとした空気の中テレビを見る。

そんな穏やかな日々を過ごしていた。

どういうことだろう。アンさんが日本に滞在している間は、ふたりは仲良く逢瀬をするのではないのだろうか。

貴晴さんは、会社でランチに外に出ることもない。
私が作ったお弁当を、社長室で食べている。

なんならいちど、寝坊してお弁当を作れない日があった。
そうしたらその日は、一緒にランチしようと誘われた。

私のお弁当がなければ、アンさんとランチ…ということもなさそうだ。
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