幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
佐原はわかっているのかいないのか、くすくすと笑っている。

「もうじきクリスマスですものねえ」

そうだ。女性の意見を聞いてみようか。
佐原と一椛はランチに一緒に出ている姿を何度か見たことがある。一椛も、『尊敬する先輩』だと零していた。仲もいいようだし、ヒントを得られるかもしれない。
もちろん、一椛の意向なので俺たちの関係は伏せておくが。

「佐原は、落ち込んでいる時…パートナーにはどうしてほしい?」

「あらあ、喧嘩でもしたんですか」

俺は肩をすくめる。

「喧嘩ではない。彼女も元気な様子だが、ふと、物憂げな表情をすることがあるというか…」

佐原がふむと考える様子をみせる。

「そうですねえ。だいたい女子のそういうのって、恋の悩みですよ。
< 55 / 126 >

この作品をシェア

pagetop