幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「アンとは、本当に何もない。ただのビジネスパートナーだ。 ただ、あいつがしたことは最低だ。いつもの悪ふざけで片付けるつもりはない。きっちり償わせて……」

「もう、分かった」

「一椛」

「貴晴さんの気持ち、伝わったよ。 私も、勝手に勘ぐってたところに、アンさんから食事に誘われて…色々聞いて。 誤解していて、嫌な態度をとってごめんなさい」

「悪いのは俺だ。 あのパーディーの日からだよな、一椛が元気がないのは。妹みたいなものといっても、妻の前で見せていい態度じゃなかった。ごめん」

「ちゃんと、本当のことを知ったから、もう大丈夫。ありがとう」

お互いに頭を下げて、顔を見合せて笑う。
誤解はとけた、よな。仲直りできただろか。

「一椛、この後なんだが…」

「ちょっと、まって」

場所を移動しようと提案するつもりだったのに、一椛が遮って言う。
なんだ、誤解が解けても、やっぱりまだ怒りは収まらないのか?

「貴晴さん、手、出して?」

よくわからないまま、言われた通り両手を一椛の前に持っていく。
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