幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
すると、ぎゅっと包み込むように握られて、不覚にも心臓が跳ねたのと同時に肩も跳ねる。
「…やっぱり」
一椛は神妙な顔で俺を見上げた。
「貴晴さん、熱、あるでしょ」
「熱……?」
「体、辛いんじゃない?」
一椛は心配そうに顔を歪める。そんな顔も可愛いままとは、ずるい。
「大丈夫? ぼうっとしてる。やっぱり、朝から体調悪かったんだね」
「いや、俺は別に、体調に問題はないが…」
「え、自覚してなかったの? 佐原さんから聞いたけど、社長室の暖房は効きすぎてるくらいなのに、まだ寒いって言ってるって聞いて、心配してたんだよ」
「たしかに今日は朝からすごく寒かった。 でも雪が降るほどの気温だろ。寒くてもおかしくはないと思ってた」
「それ、寒気でしょ、絶対。外が寒いんじゃなくて、貴晴さんの体の中が冷えてるの」
なんということだ。俺は風邪をひいていたのか。
寒かったのも、空を飛べる、なんてファンタジーなことを口走ったのも、もしかしてコース料理で満足したのも、食欲がなかったからなのだろうか。
「…やっぱり」
一椛は神妙な顔で俺を見上げた。
「貴晴さん、熱、あるでしょ」
「熱……?」
「体、辛いんじゃない?」
一椛は心配そうに顔を歪める。そんな顔も可愛いままとは、ずるい。
「大丈夫? ぼうっとしてる。やっぱり、朝から体調悪かったんだね」
「いや、俺は別に、体調に問題はないが…」
「え、自覚してなかったの? 佐原さんから聞いたけど、社長室の暖房は効きすぎてるくらいなのに、まだ寒いって言ってるって聞いて、心配してたんだよ」
「たしかに今日は朝からすごく寒かった。 でも雪が降るほどの気温だろ。寒くてもおかしくはないと思ってた」
「それ、寒気でしょ、絶対。外が寒いんじゃなくて、貴晴さんの体の中が冷えてるの」
なんということだ。俺は風邪をひいていたのか。
寒かったのも、空を飛べる、なんてファンタジーなことを口走ったのも、もしかしてコース料理で満足したのも、食欲がなかったからなのだろうか。