幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
一椛のことしか考えていなかった。体調管理がずさんになっていた。なんて情けない…。

「早く帰ろう。絶対熱高いから」

言われてみると、体がだるい気がしてきた。

会計をして、一椛に引っ張られるように車に向かう。
かっこ悪いことこの上ない。どうして最後までスマートに決められないんだ。

「あ、車…ペーパードライバーの分際でこの高級車を運転するのは無理だなあ。 タクシー拾おう。ちょっとまっててね」

「俺なら大丈夫だ。運転くらいする」

「でも…」

「風邪ひいたくらいで事故ってたまるか」

渋い顔をする一椛を置いて運転席に乗り込む。
俺の意思が強いことに諦めたのか、「無理はしないで」と念を押して助手席に座った。
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