幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
大切にする


左手の薬指に、圧倒的な存在感を示すリングが光る。

随分と遅れてやってきた、婚約の証の意味を持つそれを貰ったのは、クリスマスの日。

貴晴さんが熱を出したので看病していたら、すごく悲しそうな顔をしながら手渡してきた。

『本当はちゃんとしたかった。 でも俺がいない時の虫除けは必須。とりあえず付けといて』

…なんて。
ムードもへったくれもあったもんじゃない。

だけど嬉しい。

貴晴さんの体調は回復し、1日仕事を休んだものの、今はもう普通にこなしている。

ホワイトボードの外出中の文字を見て、また左手に目をやる。

どうしよう。顔がにやけちゃう。

「あらら、何を嬉しそうな顔していると思ったら、四宮ちゃん、結婚するの!?」

「さ、佐原さん! 声、声落としてください!」

しーっと辺りを見回すと、すでに注目されていて焦ってしまう。
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