幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「大変なニュースじゃない。 高嶺の花が結婚なんて…。 うちの会社のビジュアルツートップが…」

私と、もうひとりは貴晴さんのことだろう。
なんだか私たちで結婚したみたいに聞こえる。

「お、大袈裟ですってば。社長はともかく、私はそんなに大仰なものじゃ…」

「お祝いしましょう! 秘書課のみんな…あ、総務にも声掛けてみようかしら」

あああ、なんだか話が大きくなってしまった。
お祝いしてくれるのは嬉しいけれど、迂闊だった。
私は旧姓で通っているし、指輪は外しておくんだった。

私の中で、貴晴さんとの結婚にもう少し余裕が出来たら、佐原さんには自分から話そうと思っていたのだ。

隠していたことに、怒ったり不満を抱く様子は見られないけれど、浮かれて指輪をにまにま見つめていたら誰だってお察しだ。

その日のうちに、私の結婚祝い…という名の忘年会の計画が成されたのだった。

時期も時期なので、タイミングも悪かった。
総務部全体での忘年会は、急遽明日。
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