幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
佐原さんは喜んで社長を参加者に入れてくれた。
誘おうか迷っていたらしい。やっぱり人望が厚い。
これで、女の子たちの参加人数は増えることだろう。
会社からほど近い居酒屋の座席数の大半を占め、総務部長である私の叔父の音頭でスタートした忘年会は、楽しい。
私は届いた料理を取り分けて、からのグラスにお酒を注いで回った。
最初に秘書課の面々が集まって、「結婚おめでとう」の乾杯もしてくれたし、あとはもう会社の忘年会。あっさりしたものだった。
それでいい。そんなに大っぴらに祝われても困る。
貴晴さんの周りには、やっぱり女の子。
左隣は副社長である貴晴さんの叔父様が譲らないけれど、それでもずっと彼の周りは女の子だらけ。
正直、見ていて面白くはない。
旦那様が他かの女性に囲まれているのはなんとも心が落ち着かない。
当の貴晴さんの表情には覇気がなくて、明らかに疲れている。
集まっている子たちは、人の顔色を伺うというのを知らないのかしら。