幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


「ね、どんな人なの?」

「っ、えぇ…」

佐原さんの隣で、私は質問攻めにあっていた。
みんな他人の恋愛話に興味津々で、秘書課にはそれを止める人がいない。

ワクワクが滲み出ている。

私は観念して、ぽつりと言う。

「とっても、優しい人、です」

たった一言に、わあわあと喧騒が広がる。
恥ずかしい!恥ずかしいからこっち見ないでぇ!

やってられなくて、グラスをグビっと煽る。
こんなの、お酒なしで誰が乗り越えられるか。

「じゃあ、四宮さんは彼のどこが好きなんですか!」

ちょ、声が大きいから!
貴晴さんに聞こえちゃう……ああ、こっちみてるよ、もう。
なんか楽しそうじゃない?貴晴さんてば。ぜったい、あとでからかわれる〜!

「い、いつもクールだけど、実は抜けてて…可愛いところもあるというか…はい…」
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