幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない


その翌日、廊下ですれ違った三郷くんからランチに誘われた。

貴晴さんの言葉が引っかかる。
別に、会社の人とランチくらい、いいと思う。お互いやましい気持ちはないんだし。
過剰に気にしすぎだと思う。三郷くんに対して失礼だ。

「ごめんね、今日はお弁当、持ってきてるの」

私は断った。嘘はついていない。だけど、ちょっと胸が痛いなぁ。

「社長の分も作ってるんですか?」

三郷くんが問う。

「うん。まあね。1人分も2人分も一緒だから」

なんだか言い訳みたいに聞こえる。何に対して話しているんだ、私は。

「いいなー、社長。四宮さんの手料理毎日食べれるとか、羨ましいっす」

「そんな、大したもの作れないよ」

「料理の腕は別にいいんです。四宮さんが作ってくれたっていうのが嬉しいんじゃないですか」

「そ、そう?」

三郷くんはにこにこ笑って頷く。

今のはどういう意味だろう。私の手料理に魅力を感じるとは…。
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