幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない

貴晴さんの提案で、今日の夕飯は外に出ることになっている。
時間が合えば、一緒に会社を出たい。

私の仕事が終わったので、貴晴さんを会社で待つことにした。

この間資料庫にしまったダンボールの中に、必要な書類も混ざってしまった可能性があるため、時間が出来たので探しに行く。

電気をつけてダンボールの中身を確認していると、半開きだった扉が開いた。

「四宮さん」

入ってきたのは三郷くんだ。
こんなところになんの用だろう。

「どうかした? あ、さっきの資料、不備があったかな」

「いえ。資料は大丈夫です。神田さんには渡しておきました」

神田さん、とは私の叔父のことだ。婿養子なので、奥様のご実家の籍に入っている。
三郷くんの直属の上記にあたる。

「そっか。良かった」

だとしたら、いよいよわからない。
必要になるような大切な資料なんかは、人事課の隣に併設されている。
資料庫に用があるとしたら、仕事をサボりにくる給料泥棒くらいなものだ。

三郷くんの背後で扉は閉まった。

カチャリ。……鍵、閉めた…?
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