幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
外食はなしだ。そんな雰囲気じゃないし、私のお腹はぐるぐる言うのをやめた。食欲なんて湧きそうになかった。
ソファに座ると、貴晴さんがホットココアのマグカップを手渡してきた。
「…ありがとう」
温かい。
「美味し…」
「良かった」
貴晴さんが私の肩を寄せて、「震えも止まったな」と呟く。
さすさすと撫でられて、私は彼に甘えるように寄りかかった。
「ごめんなさい」
「…あれは不可抗力。 だけど、すっげーイライラする。 気安く触りやがって。あのやろう、絶対許さん」
「私が悪い」
「そうだな。おまえも悪い。ただいるだけで男の視線集めちゃうその容姿とか」
ちがう、そういうことじゃなくて…
「怖かっただろ」
「…怖かった。 まだ、貴晴さんともしてないのに、キス…」
「されたのか!?」
顔を青くして、私の頬を包み顔を上げさせる。